鷲ヶ頭山・安神山
へ行こう!
お山について登山口・ルート登ってみよう!メールホームへ
わくわくパーク~安神山山頂~烏帽子岩
距離 約700m
標高差 約200m
国道・県道
下記写真の場所
距離 約400m
標高差 約30m

自然研究路と入日の滝遊歩道分岐から。

「安神山・鷲ヶ頭山→」が指す階段を登ります。

くぃっと左に曲がって、また曲がって-

最初からどんどんと高度を稼いで行き、すぐに町を見下ろす高さ。
道はずっと簡易舗装されてますが、道幅は一人分、
路肩に柵がない区間も多いので、足下は常に注意で。



展望台がありました。

昭和っぽい錆びた展望台です。

ここは山頂じゃないから、方位盤は半円。

  

展望台からの眺めです。
まだ標高90mほどなので、水平線も島影が混んで見えるし、
青刈山や二反山の峰峰が立ち塞いで北側の海もまだ見えません。

  

宮浦の町、宮浦港、錆び色の神社の屋根。

滑り止めなのでしょうね、
舗装に石が点点とはめ込んであります。
でも逆に、疲れて足が上がらなくなったとき、
つまずくこともあるかも。



ジグザグ、高度を稼いで、見晴らしのいい場所へ。

「← 安神山 0.6km」

道なりに左に曲がると、階段が待ってました。
ここからはもう濃い木陰をもたらしてくれる林はなくなります。
あるのは岩場に張り付くように根付いた針葉樹などの灌木やシダなど。
見晴らしや風通しはいい代わりに、
直射日光に体力をそがれて行きます。

谷をはさんで、安神山の山頂と、
鎖場コースの直登尾根が見えています。
の分岐を右に向かい、鎖を登るコースを選んだ場合、あの岩場を登ることに。
僕にはあの崖みたいなところはちょっと、
いや、ちょっとじゃない、全然、ムリ。



階段が終わったころ、安神山山頂に連なるテーブル状の岩峰、
「カブト岩」が見えました。
ルート的には、尾根の下をジグザグと斜行しながら、
カブト岩の右の尾根に出て、安神山山頂へ、となっています。
でも、下から見る限りは、遊歩道はどこをどう通っているのか判然としないので、
あんな岩場を本当に登れるのか、どうやって登るのか、
想像するとドキドキしてきます。

ちょうど咲き始めたツツジが新緑に彩りを添えてました。
大きな木も根付けないほどの急斜面、
崖っぷちなので、路肩は鎖の柵でガードしてあります。



鷲ヶ頭山までの道中、
この山域に関係した自然を解説した看板に出会います。
カブト岩を正面に見る、この場所にあるのは、No.8。

(No.8)瀬戸内海国立公園のあらまし

 瀬戸内海国立公園は、わが国最初の国立公園として昭和9年に指定され、その後25年、31年の2度にわたって区域拡張が行われました。
 その区域は、瀬戸内海を囲む和歌山県、兵庫、岡山、広島、山口、福岡、大分、愛媛、香川、徳島の10年にまたがります。
 この公園の特徴は、内海に浮かぶ大小約600の島からなる多島海景観と海流、潮流など珍しい自然現象が見られることです。

 設置年月日 平成6年3月 環境庁・愛媛県

カブト岩の下へ向かっていく…。

振り返って。



カブト岩直下、崖地帯の登りです。
ジグザグな遊歩道の傾斜も急で、息が切れる登りが続きます。

折り返す向きによっては、カブト岩が正面に。
少しずつ、でも確実に高度を稼いで-



額の汗を何度か拭いたころ、見上げていた岩峰が視界に。
ん? カブト岩の上に何かある…。

小さな祠だ…、お山でよく見かける石の祠。
険しいところにあるけど、近付けるかな?

右にくぃっと曲がるカーブ、柵の外は崖っぷち。
股間がきゅんってなる、この高度感 (>_<)
鎖の柵も錆びてたり、心許ない。
おまけに腰高なので、変な体勢で転ぶと柵を越えて真っ逆さま、
なんてことを想像すると、また、きゅんっ (>_<)
この後も、こんな場面が鷲ヶ頭山まで連続するとは、
このときはまだ思ってませんでした。



  

やっとこさ、海風が通り抜ける稜線に乗りました。
簡易舗装路が続く右に行けば、
安神山山頂、そして鷲ヶ頭山です。
でもその前に、左に踏み跡があったので、
さっき見たカブト岩の祠を訪ねてみようと思います。

写真を撮りに入るのか、
僕みたいに祠を見に行こうとした人か、
こんな感じにある踏み跡たどります。

  

踏み跡はすぐに露頭した岩岩に通せんぼされましたが、
そこは畳み2畳ほどの平地になっていて、
島の北東側の海がようやく見えました。

さて、祠への道ですが、
高いところが苦手な僕には大変険しく、恐ろしい道のりでした。
露頭した岩を慎重に数m下り、
狭い岩尾根を渡ってようやく、カブト岩の入口です。



数m角の岩が人の出入りを妨げています。
乗ってみると、浮き石状態でぐらぐらしていたり-

こんな崖っぷちのロケーションです。
一歩間違えたら命の保証のない場所だったので…

祠のある岩の上にはよじ登れませんでした。
腕を伸ばして祠だけ、撮って戻りました。
石鎚系の祠のようでした。

  

戻る前に撮った、安神山から鷲ヶ頭山にかけてのパノラマです。

  

稜線部分をアップにしてみました。
が、崖っぷちで撮ってたから、怖くて怖くて、早く戻りたくて、
写真右端にあるはずの安神山山頂を撮り忘れてました (^^;)
さて、この写真を見れば、
安神山から鷲ヶ頭山までの道のりがよく分かると思います。
アップダウンもあるし、鷲ヶ頭山、結構、遠く感じました。



冒険を終え、遊歩道に復帰。
安全な道が一番 

稜線に乗れば山頂は指呼の距離。
山頂手前の折り返し急坂もなんのその。

大岩が路肩へ押しやってくるようなカーブを抜けたら-



安神山山頂に到着ですっ!

鎖場の鎖献納を記念した碑がありました。
昭和25年とありますので、鎖も60歳?

  

鎖コースでたどり着くだろう岩場から見たパノラマ。
高さが増し、水平線に奥行きが出てきました。

三角点のところはもちっと先。

「← 安神山苑地 0.8km 鷲ヶ頭山 1.6km→」

あれ? 7番は…?

(No.6)森林のはたらき

 森林が人間生活に寄与する最大の機能は、木材を供給することにありますが、水資源の確保や、様々な防災的な機能を初め、魚類保全の機能とか、船の航行の目標となる特殊な効果もあります。
 これらの機能を十分に発揮させるために特別な制限が加えられている森林が保安林です。
 この周辺一帯の森林は公衆の保健・休養に役立てるために「保健保安林」に指定されています。

設置年月日 平成6年3月 環境庁・愛媛県

  

いっちゃん高いところに着きました。
でも、安神山全体では3番目の高さの三角点ピークです。
お山自体が御神体である安神山で、
雨乞いの龍神様の祠が祀られているこのピークこそ、
山頂となります。

3段高い場所におわす竜王大権現様の祠です、合掌。
昔、社もありましたが、1962年2月の山火事で焼失しました。

龍神の左の岩場にある石鎚大権現、合掌。

龍神様の祠の後ろへ、
踏み跡があったので入ってみると-

  

“台”と書いて“うてな”と読む、台地区が眼下に、
「伯方の塩」の伯方塩業や温泉施設のマーレグラッシアなども。
写真左上には高縄山や波止浜・大西辺りの海岸線がちらり。

踏み跡の先には、三角点。

「安神山」四等三角点、標高は、266.78mです。

  

では、ここからは、鷲ヶ頭山に向かっての縦走です。
うねる龍の背中のようなアップダウンする岩稜線が、
鷲ヶ頭山まで続いています。
あ、稜線に立ったので、台ダムも見えてますね。

次のピークに向かって細尾根を少し下ります。

下り始めたところに、こんなせり出した岩。



次のピークにかかる道は、山頂には寄らず-

ちょい下をトラバースしてます。
岩が右から押してくるのに、柵がない (>_<)



通称「烏帽子(えぼし)岩」への道も狭い尾根で、
三角点ピークからこの辺りまで、舗装があったりなかったり、
柵もなかったりなので、ドキドキします。

この辺りからは台ダムがよく見えます。
夏は度々、渇水に悩まされる大三島。
その大切な水瓶のひとつ。
訪問時は満水のように見えました。
でも、背後のあれだけのお山で雨水を集めてるんだから、
少しのお水も貴重です。

この区間ではダム側の斜面で炭化した木々が目につきました。

昨日今日、焚き火でもしていたかのような炭になった木々。

この炭化した木々や焦げ跡の残る岩肌は、
2005年5月28日に発生した放火山林火災による傷跡です。
安神山の南東側斜面に端を発し、31日に鎮火するまで、
133haもの広大な山林を呑み込み焼き尽くしました。
地元の消防団はじめ、県の消防防災航空隊や自衛隊のヘリも投入され、
懸命な消火活動が行われました。
この遊歩道・登山道のある尾根は自然の防火帯になって、
北側斜面への延焼はわずかでした。
眼前に拡がっている緑は、
山火事から9年かけて戻った自然の驚異なる復元力の賜物です。
ちなみに、山火事の原因の約70%は人為的なもので、
焚き火、たばこ、放火、火遊びなどによるものです。
落雷など自然現象はまれです。



  

烏帽子岩が目印の283.9m峰も表土がそげ落ちた露岩峰。
烏帽子岩に向かって登り、ピーク手前で右へ曲がって、
山頂には寄らずに抜けて行きます。
さすがにこの環境なので、
道は舗装されてませんし、危なっかしいです。

烏帽子岩をアップで。

ずるずる滑る坂を登った後、こんな細道で岩場をトラバース。
右側は崖ほど切り立ってはないけど、落ちたくない高さ。

  

岩を回り込んで、烏帽子岩の裏側に出るのが正解なんですが、
ここで、烏帽子岩に向かって登る道が左にあって- 

こっちが正しいのかと思って登ってみたら-

烏帽子岩んとこで終わってて、
烏帽子岩の峰は崖だし、危なっかしい場所だったし、
写真だけ撮って引き返しました。

次のピークも岩、岩…。
で、そこまでの道も細尾根、舗装なし。



次の岩岩ピークもピークのすぐ下をトラバース。
ここはちゃんと柵がある分、安心して歩けました。
ここに、解説5の看板、あります。

(No.5)鷲ヶ頭山のえぼし岩

 この付近は、えぼし岩のような岩石が広く露出しています。
 このような岩石の状態を露頭と云います。
 これらの岩石は「花崗岩」という火成岩です。
石室は風化して軟らかく、石材としては使用できません。

環境庁・愛媛県

次の300m峰との間は標高約250mの鞍部で、
階段で2、30mうんと下ります。
階段はまっすぐじゃなく、右に左に折れます。

すると、烏帽子岩みたいな岩がまた出現。
みんなが烏帽子岩と思ってる岩は、案外、
3つぐらいあったりして。



鞍部に降りると、小さな小さな花が咲いてました。

この紫の花はこの後、よく見かけました。

鞍部からまた舗装が復活。

次なる300m峰への、なんと心地よい登り坂か。

ひとりごと

わくわくパークからの登りは、急斜面に巧みに設けられた遊歩道を安神山山頂に向かってどんどん登っていきます。
結構、汗をかきました。
でも、楽しかったぁ (^_^)
普通、山頂まで見晴らしのまったくない森の中を歩くもんだけど、安神山では展望台を過ぎた辺りから森が終わり、見晴らしのいい道がずっと続きます。
視界や風通しを遮る高い木のない状態は、まるで、高山地帯の森林限界のよう。
振り返ればいつでも海が見えたし、足下を見れば切り立った崖も目に入ったけど、実に爽快な道でした。
こんな登山道はなかなかないです、高いところでも300mくらいの低い方のお山なのに。
夏草茂るシーズンには見晴らしの悪いところも増えるだろうし、日差しを遮る木々がないことで日焼けしたり、暑かったりするだろうけど。
得られるものに比べれば負、または不快の不は十分、我慢できる範囲です。

登山道=遊歩道=自然研究路は展望台から山頂まで、急な岩場に付けてあります。
柵などの設置や舗装が行われた開設時期ははっきりしません。
安神山山頂では古来より雨乞い行事の場ともなっていました。
遊歩道としていきなり道を付けたわけじゃなく、山頂の社に至る参道が最初にありきでしょう。
参道を整備しながら、いまの形になっていったと考えられます。
舗装された登山道は味気ないし、足にも負担がかかります。
けれど、このような岩場で、さらさらと崩れやすい真砂土質の土地。
大雨の後、路肩が崩れたり、人の歩いた跡が溝のようになったところを雨水が流れてさらに地面を削って凸凹になったりします。
雨が降る度、人の手を入れなきゃならない道は長続きはしません。
コンディションを維持するのだって、先立つものが必ず必要になりますから。
こんな急傾斜地ではこれが最善の策だったと思いますよ。

その「自然研究路」についてですが、しまなみ海道では大島にも同名の遊歩道があります。
大島の南西部にある館山の海側の山裾に開設されたハイキングコースで、昭和47年に完成しました。
延長は1.6km、徒歩で60分、展望台は3か所あります。
「自然研究路」と云うものは日本全国にあります。
およそ、国立・国定公園内にあって、公園計画に基づいて設置されたものです。
(ここ、大三島は瀬戸内海国立公園内です。)
昭和32年に日光国立公園内、日光湯元地区の兎島自然研究路が開設第1号で、昭和40年代に一気に普及しました。
「自然研究路」は、アメリカの国立公園に整備されている「ネイチャー・トレイル(nature trail)」がベースになっています。
自然公園の利用者が歩きながら、優れた自然に触れ、鑑賞、観察し、学習することができる歩道が自然研究路です。
「自然探求路」や「自然観察路」と称している路線もあるようです。
国立・国定公園内ではないけれど、開設理由・目的が同様な「四国のみち(四国自然歩道)」などの長距離自然歩道も自然研究路の仲間です。

安神山山頂へは、この研究路以外に、鎖を登るコースがあります。
鎖を登る、と云えば、石鎚さんを思い出しますが、安神山の山頂には石鎚権現の祠があったりします。
また、山頂は雨乞い祈祷の場所だったりするし、鎖を登ることが行のひとつだったり。
みそぎの一環だったりするた山岳信仰の影響を受けて、鎖がかけられたのかも。
研究路からも見えた鎖がかかってる岩場は、足を掛ける場所も少なそうな垂直な岩盤もあったり。
高いところが苦手な僕には、ムリ、ムリ、ムリ!
昔のガイドブックを見ると、研究路、鎖のほかに、南西麓から唐獅子に似た岩「カラシシ岩」を経由するルートもあったようです。
でも、いまでは歩く人もおらず、荒れきっていると思われます。

安神山山頂から鷲ヶ頭山までも素晴らしい稜線歩きが楽しめました。
アップダウンは堪えたけど、見晴らしも道の変化も面白かったぁ。

その見晴らしがよくなった最大の原因、山火事についても触れておきます。
上でも書きましたが、2005年5月28日に発生した放火山林火災によって、安神山から鷲ヶ頭山にかけての133haの広大な山林が焼失しました。
歩道が付いてる稜線が自然の防火帯になって延焼が防がれた面もあるようです。
放火って、やだなぁ。
でも、山火事の原因を探ると、ほとんどは人為的なんですよね。
過去、大三島の森は何度も山火事に遭ってきました。
島はその昔、クスノキだらけの島でした。
、南北朝の騒乱による戦火は三日三晩、燃え続け、大山祇神社境内を除く、島中のクスノキを焼き尽くしてしまったそうです。
安神山山頂にあった竜王大権現のお社も焼け落ちた昭和62年(1987)2月の山火事は、2/28~3/2までの3日間燃え続け、焼失面積は260ha。
焼け野原から再生し、18年かかってやっと大きくなったのに、焼けちゃった木も少なくないでしょうね。
島だけに限らず、今治界隈は山火事が多いところですね。
笠松山は2008年にたばこの不始末から丸焼けになったし、大黒山で目にした焼け焦げた地肌は1996年の山火事の跡でした。
僕はたばこはやらないんですが、お山で吸ってる人いますよね。
火の始末だけは完璧にして欲しいし、吸い殻は必ず持ち帰ってもらいたい。
とは云え、たばこ吸いながら、山の空気はうまいな、とか云う人。
その煙がこっちにたなびいてきたときだけは、崖下に蹴り落としたくなる。
んじゃ、他人の空気はマズくてもいいのかって。
できれば、炊飯以外では、お山で火は使わないで欲しいです。

ブログパーツ
     
inserted by FC2 system