笠成山は、旧広田村にそびえる静かなお山です。
広田の谷を刻む玉谷川とその支流・中野川に挟まれた南北に長い尾根を持つ山地が笠成山です。
北は水梨山、南にコクゾ峰、西は蒲山、東に北ヶ森と700~1000mの山山に囲まれています。
笠成山の標高は713mですが、国道379号線沿いの総津が250mくらいなので、比高は460mほどです。
比較的、急傾斜地で、その山肌は針葉樹の人工林が目立ちます。
昔からマツやスギのような針葉樹が多く見られます。
その緑が濃い山を意味する黒木と云う名を持つ西麓の黒木集落はマツ材の生産地でした。
人家は山裾の国道、県道沿いに点在しています。
平安時代頃、集落が形成された広田村は、古くは広奴田村郷と呼ばれました。
“奴田”はイノシシが泥浴びするヌタ場の意と云われ、ケモノが多く棲む土地柄でした。
そんな山間地に移り住み、荒れ地を開拓した者たちの中には戦国時代の落武者や浪人たちの姿もありました。
笠成山の中腹にもそんな落ち延びた者たちが開拓した場所があり、笠成と呼ばれていました。
“笠”は“上の方”が転じた言葉、“成”は成地(高所の平地や山腹の傾斜のゆるやかな所)。
上の方にある平地という意味になります。
笠成山の山名はその笠成に由来しています。
東麓の国道沿いには道の駅「ひろた」のほか、大きな絶壁が谷に迫り、天狗伝説のある渓谷「仙波ヶ嶽」などがあります。
|