石鎚山へ行こう!
土小屋から 2014
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弥山~天狗岳~南尖峰
距離 約300m
標高差 約30m
徒歩
下記写真の場所

弥山山頂から望む石鎚最高峰の天狗岳。
多くの人が最高峰目指して細い細い稜線をたどっているのが見えました。
僕が天狗岳まで行ったのはもう十数年前、
久しぶりに行ってみようと思いました。
雲は東側に次々と湧いていましたが、
天狗岳まではまだ押し寄せていない様子でしたが、
それも時間の問題だったので、ちょい急ぎ気味で行ってみました。

天狗岳に行くには、まず、岩場を鎖で降下し-

人一人分の幅の尾根を慎重にたどります。

鎖はひとつ、混雑時は登り下り10人ずつ交代で。
一二三の鎖に比べたら、細く手がかりのない鎖。
一番難しかったとの声もありました。



降りる岩場はこんな高さで、ほぼ縦に降りる感じです。
下りは特に鎖を頼らないと降りられないので、時間がかかります。
なので、登り下り、声かけして、交代交代じゃなきゃ、です。

降りた岩のテラスも広くないし、左右は崖、
人が溜まると危険です。
とっとと先へ進みましょう。

岩のテラスを振り返って。
ここでひるんだり、つまずいたりしてたら、
引き返された方がいいです。

切り立った尾根の左右は、下を覗くのも怖いほどの崖。
不用意に踏み外さないように。
冗談でも人の背中を押したりしちゃ、
冗談じゃ済まないことになりかねないのでやめませう。

基本、土と岩の上を歩きます。
怖いからと云って、ササや灌木を踏んで歩いちゃ、
ダメよ、ダメダメ。



岩の表面が乾いていたので、上を歩いても滑ることもなかったけど、
視界に底なしのような崖っぷりが入ってくるので、
高いところの苦手な僕は、自然、へっぴり腰で歩いてました。
天狗岳目前の茂みに道は見えませんが、
進むにつれ、踏み跡が現れてきます。
写真中央の岩場登りが大変で、岩尾根をたどるのが一番近道だけど、
左側は200mほどの崖になっています。
少し右に下り、ササの生え際を進み、岩を縦によじ登るのが、
子供でも登れるルートになります。

縦の岩場まで、こんなところを歩いて行きます。
写真は、縦の岩場から振り返って撮影。
大抵は、ササの生え際を歩いています。
でも、踏まれた生え際は後退し、結果、荒廃に繋がるので、
ホントは、岩の上をどうにかして歩くのが最善なのですが、
云うは易し、自然守って命守らずじゃ本末転倒。

灌木の間の踏み跡はこんな感じ。
あんまりハッキリとはしていませんが、
ササ原にほんのり、分け目が入ってるところが、
道になっています。



子供でもって云ったけど、こんな縦の岩場です。
あくまで、大人のサポートで子供でも登れる岩場です。

三点支持を忠実に守ってよじ登ります。

で、待っているのが山頂、ではなく、さらに足が震える岩場…。
自然保護に徹するなら、切り立ったエッジを行くべきでしょう。
でも、強風に煽られて落ちでもしたら、
新聞の見出しはただの転落死、自然保護の想いは二の次…。
僕は命大事、申し訳ないけど、
生え際や灌木の合間の踏み跡をたどらせてもらいました。
でも、根っこすら踏まないよう、
気をつけてくこと、第一でした。



でも、いつまでも安全な場所に潜んでいるわけにはいきません。
最後は意を決し、また岩場にへばりついて登ります。

天狗岩を形成する岩盤、東側は切り立っていて、
恐る恐る覗くと-

百数十メートルの奈落にくらくら (>_<)
表参道でも遠望して気を逸らせます。

反対側がこんな崖になってる岩場を登るときは、
急な地震とか想像するのはやめた方がいいです。

一度、崖をのぞき込んでしまったら、怖さの方が勝ってしまい、
一挙手一投足が力んでしまいます。



そして岩尾根歩き。
当然、左側は切り立った崖なので、
ササの生え際に降りて進むもよし。



天狗岳に到着っ!
当時、記念撮影の順番待ちができていて、
数分待機してようやく、無人の山頂を撮れました。

頂には祠がひとつ、根方に木の山頂標が置いてあります。
山頂標、台風とかでよく飛んでかないものだなぁ。

雲に邪魔されずに見えた西側のパノラマ。

ここが石鎚山の最高地点で、石鎚三十六王子社の最期の地。
「王子」とは石鎚には修験者を守護し、導いてくれる神霊。
古道沿いに36ある王子の第36番がここ、「天狗嶽王子社」です。

三角点はありません(多分、宗教上の配慮で)。
ここで引き返してもいいのですが、
この先に、ほぼ同標高の南尖鋒と呼ばれる頂があるので-

向こう側のこんな岩場をよちよち降りて-

懲りずに行ってみました。



また生え際を進みました。

こんな岩場なので、雲の湧いて谷底が見えなくなったのは幸い。



そしてまた、縦に登る場面。

もう、こうなったら、怖いもなにもない、行くしか、だわ。

天狗岳を振り返って。
ね、文字通り切り立った崖側、
すぱーーんと切れ落ちてて凄いでしょ。



岩と白骨林、灌木を避けたり、よじったりして-

頂目前の茂みに四苦八苦しつつ-



南尖鋒に到着ですっ!
こちらには祠とかありません。
地図上では天狗岳と同標高ですが、
雰囲気的にも、写真左奧の天狗岳より低く感じます。
やはり、ここも東側はすとーんと切れ落ちているので、
気をつけましょう。

東稜と呼ばれる岩稜はまだ続いていて、
大砲岩や墓場尾根と呼ばれる、
柱状節理のように柱状に割れ立った岩場があります。
土小屋ルートの「ベンチ3」にある東稜ルートは、
この岩場を往来します。
岩稜はますます荒々しく、危険度も増すので、
僕はもうこの先へ進むのはやめました。
お昼ご飯もまだだったし、振り返ると-


 

いよいよ、雲が尾根を追い越そうとするまでになってきたので。


 

弥山にも“龍”が登り迫ってきました。
時折、姿を隠す、大勢が群れている頂。


 

弥山によじ戻る最後の岩場まで戻ってきました。
鎖がひとつしかないので、10分ほど順番待ちしました。
でも、上には降りたい人がもっといて、次々に降りてこようとして…。
10人ずつでお願いしますと、下から呼びかけて、
なんとかスムーズに戻ることができました。

振り返り、天狗岳を。

雲は越えそうで越えず、吹き昇るような雲の壁ができていました。


 

弥山山頂に戻り、やっと昼食。
石垣の下に見つけた空き地に荷物をデポしてました。
戻ってくると、手前に香川からの青年がいて、
しばし、談笑。

青年が天狗岳に向かった後、いつものインスタント・パスタを。
ぐつぐつ、そして、はふはふ。

おまけ。

下山時には山頂は雲に覆われて-

薄暗い帰り道になりました。

二の鎖元もガスの中。

「ベンチ3」を過ぎたところでようやく、太陽と再会。

でも、土小屋はまた雲に負けてしまったようです。

往きに大変だった坂道辺りからガスにまた包まれました。

ひとりごと

登ってるときから、行こうか、どうしようか、迷ってた天狗岳。
いつ以来、行ってないのか、思い出せないくらい久しぶりなことは確か。
数日前、偶然、テレビで石鎚登山やってて、天狗岳にも登るシーンがあった。
まぁ、そんときから、今度、石鎚行ったら天狗岳にもって思ってはいました。
弥山山頂が観光登山客含めてごった返していて、居づらい雰囲気があったので、天狗岳へ行ってみることにしました。

天狗岳に通じる稜線へは、まず、鎖を伝って10mほど、岩場を降下しなければなりません。
鎖は一本しかなく、登り下り、譲り合わないとなりません。
下を覗くと、数人がすでに待っていました。
前の人が立ち止まったところで、下りは一時ストップ。
下の人が10人ほど、わしゃわしゃ登ってきて、途切れたところでようやく、下れることになりました。
この鎖場の鎖は、二の鎖などのつま先を掛けられるような大ぶりな鎖と違い、ホントにチェーンそのもの。
素手で手に汗かいて掴むと、つるんといっちゃいそう。
おまけに、岩も下るほどに足がかりがなくなるので、しっかり鎖を掴んで慎重に下りました。

久しぶりに降り立った岩稜。
左側・東側は切り立った崖。
右側・西側はササや灌木に覆われた急傾斜。
まずは、崖とササ原の間、無骨に露頭する岩盤をたどり歩きます。
けど、その岩場、よくよく思い出すと、覆ってた土・緑があきらかに数mほど後退している。
自然に流出した分も多少はあるだろうけど、一番の原因は大勢の登山者が行き交ったせいだろう。
植物が踏まれて枯れてなくなると、根が抱えていた土は雨風に晒され、流される。
また踏まれ、流され、その繰り返しが起きていたんだろう。
でも、草木守って崖の上を無理に歩いて、つまずいたり、風に煽られて、転落、なんてことにもなりかねない。
一方、ササの生え際は唯一、安全に歩ける場所。
自然保護は大切だけど、命も大切。
登山者の増加と昨今の自然保護優先を考えたら、もう何年かしたら、自由に行けなくなる日もくるのかなぁ。
なんて、考えながら、頂へ。

西日本最高峰目前、岩をちょっとよじ登り、切り立った崖を真横に見つつ、そろそろ歩き登ります。
以前来たときもやった、崖覗き。
四つん這いになって、顔だけ出して崖下を恐る恐る覗きます。
真下を通ってる登山道から、高さにして300mくらい、切り立った崖。
大きな木もミニチュアのよう。
ああ、怖い怖い (>_<。)
東を見やると、成就からの表参道が見えました。
瓶ヶ森はすっかり、雲に隠れてしまいました。
西条平野は雲海の下。
いままで、雲ひとつない、ど快晴だったこと、ほとんどないなぁ。
石鎚はお昼過ぎると雲が湧きやすいお山だから仕方ないんだけど。
それでも、雲ひとつまとってない午後の石鎚山を見てしまったときとか。
ああ、今日登ってたら最高だったろうなぁとか、今日登った人は心底ラッキーだぞ、神様に感謝しろよ、とか、思ってしまうわけで。

天狗岳山頂でも、記念写真を撮る行列ができてました。
以前は撮影するのはカメラ持ってる人だけだったから、待たされることってなかったけど。
いまはみんな、スマホとか携帯電話とか、カメラ機能の付いたものを持ってるからなぁ。
みんながみんな、いちいち、撮りたがるもんだから、なかなか自分の番が来ません。
グループ写真なんて、昔は1枚撮ったら終わりだったよね。
けどいまは、みんながみんな、携帯電話を差し出して、人数分、はいポーズ。
待ち時間が長くなって仕方がない。
一緒に登山するくらい仲がいいんだったら、集合写真なんか、後でシェアすればいいだろうに。
と云うか、人を待たせようが、自分の思い出優先ってところが、どうも僕にはしっくりこないわけで。
待ち時間の間、雲もじわじわと山頂に迫ってきてたし、早くしてよと、のど元まで出かかった頃、ようやく、自分の番が来ました。
僕は自撮りはしない派なので、山頂標とかパノラマとか、ささっと撮って、次の人に頂を明け渡しました。

山頂に座り込んでる人がいて、写真に映り込むのでどいて欲しい、と云うかホント、邪魔でした。
みんながパシャパシャやってるところなんか、僕は座ってられないなぁ。
無神経な人って思われるのがイヤだし。

さて、天狗岳から更に南を目指し、南尖峰まで歩を進めました。
やはり、安全なルートは灌木やササ原の中にありました。
草木を痛めないよう、気をつけて歩きました。
南尖峰には祠とか特になにもなく、この先、もう高いところはありません、そんな頂です。
頂で出会った、堀江から来たという登山者としばし、歓談。

時計を見ると12時も過ぎていたので戻ることに。
復路は往路をたどるだけ、やっぱり、怖い岩稜線。
冷や冷やしながら、弥山へ戻る鎖の下まで来ました。
すでに行列ができており、上を見ると、下に降りたそうに覗く顔が幾つも見えました。
僕の前の10人ほどが登っていったところで、後ろの人と相談し、ストップ。
上の人に鎖を譲りました。
上から次々に降りてきますが、この鎖場は登るのは簡単で、下るのはちょっと難しいので、同じ10人ずつでも時間がかかります。
おまけに、上の人は10人ずつ交代交代とか、気にしてる風がないというか。
どんどん降りていけるものだと思っている、鎖場の状況を知らない人ばかりで、黙ってたらどんどんと降りてきてしまいます。
待たされてイライラし始めたのか、僕のずっと後ろにいた軽装の観光登山客が、
「早く降りてきて、もう20分も待ってるよ」などと、冗談めかして大きな声で呼びかけ始めました。
すると、その声に反応して、恐る恐る降りていた数人の足が止まり、ちょっと戸惑った感じになりました。
その様子を危ないと感じた僕はとっさに、危ない岩場で冗談でも言うな、と後ろに向かって云いました。
降りてくる人には、大丈夫、そんなに待ってないから、ゆっくり降りてきていいからと、鎖場に向かって声を出していました。
20分も待ってるよは、半分、冗談のつもりだったんだろうけど、そんな風に云われた方は、急いで降りなきゃと思ってしまう。
焦って降りようとしたせいで転滑落でもしたらどうするんだ、まったく。
待つのがイヤなら来なきゃいいんだ。
とは云え、上の人は相変わらず、次々に降りてこようとします。
「止まって、止まって、10人ずつだから」と声を掛けると、やっと、切れました。
僕は行列の先頭だったので、僕の登り方を後続が真似ると思うとちょっと緊張しました。
弥山山頂に戻ると、天狗岳に行きの長い行列ができていました。

ちなみに、入れ替わるように鎖場を降りてきた最後の数人は中国人でした(会話から)。
日本語はよく分からないのか、声に反応して崖の途中で足が止まってしまったようです。
帰れと云われたと感じたのか、一瞬、戻ろうとした仕草もみせ、それが危うく僕の目に映ったようです。
弥山山頂にも数人の中国人がいて、本人も観光客っぽい、登山ガイドっぽくない日本人男性が引率して来ていました。
みな軽装すぎて、ちょっと危なっかしい。
引率の日本人男性も、連休だし、行っとく?ってな感じで連れてきたんだろうなぁ。

さて、天狗岳に向かう際、荷物は山頂岩盤を2mほど下った岩陰に置いて置いてってました。
岩陰に戻ると、香川から来たと云う男性がいて、またしばし談笑。
彼が天狗岳に向かったタイミングで、インスタント・パスタを作って昼食しました。

そんな風に長居したせいで、下山開始は午後2時前に。
帰りもゆっくり、足に負担を掛けないよう、そろっと着足する感じで、ゆっくり下りました。
3時近くなっても登ってくる人が結構いました。
山頂山荘に泊まる予定ならいいけど、途中撤退もせず、山頂日帰りだと、登山ロープウェイの最終には間に合わないだろうし。
石鎚スカイラインの夜間閉鎖にも間に合わない…。
下山できなくなるけど、大丈夫?って、よっぽど尋ねてみたかったけど、やめました。
成就にも土小屋にも宿はあるから、最悪、下山できずに野宿、なんてことにはならないだろうし。

午後3時半、無事、土小屋着。
下山者が多くなり、駐車場のクルマは少し減ったようでした。
ドライブや観光目当てで来ただろう車と差し替わったところもあるようでした。
ささっと帰り支度をし、スクーターにまたがると、石鎚スカイライン、ではなく、瓶ヶ森林道に向かいました。
西条回りでの帰宅はとてもとても遠回りだけど、今治富田の温泉に入って帰ることを楽しみに、林道を走りました。
けれど、日が傾いた林道はとても寒く、すべての服を着重ねても震えてしまう有様でした。
寒風山隧道から旧道を下り、国道にやっと出ると、少しは気温も上がり、西条平野に出ると耐えられるくらいの暖かさになりました。
けれどそれも日没を迎えるまでの話でした。

と云うわけで、石鎚山お山歩、終わりです。

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